元請け企業へ罰則!【建設業の社会保険未加入者への対応】

本日のニュースで建設業で社会保険未加入者に関してペナルティーが課されることがわかりました。
沖縄県では約4500以上の建設事業者が存在しておりますが、このペナルティーは割と大きな影響を与えそうです。

本日は以下の流れで今回の制度をご紹介します。

・今回決定した制度とは
・対象となる社会保険
・対策方法
・まとめ

今回、「沖縄県土木建築部」が決定した6月1日から課せられるペナルティーをしっかり理解しましょう!
そして、建設業に所属している人や建設業を経営されている方は今回のペナルティーが課せられる条件などを確認して自社の経営に影響がないように備えましょう!

今回決定した制度とは

今回、「沖縄県土木建築部が6月1日以降に県と契約を締結した建設工事から、1次下請け業者が社会保険に未加入の場合、受注した元請け業者に指名停止と工事成績評定減点のペナルティーを科す制度を導入」することが決定しました。
2次下請け業者でも未加入であれば改善指導が入ります。

今回の制度適用では沖縄県は契約する元請け業者が提出する施工体制台帳を基に社会保険の加入状況を確認します。
未加入が判明するとその状況に応じて2週間から4カ月の指名停止と、その期間に応じて工事成績評定を減点するとのことです。元請けとしては指名停止を受けてしまうと仕事が取れなくなってしまうので経営に直結する問題になります。

今回は1次下請け業者までがペナルティーを課す対象ですが20年4月からは「2次以下の下請け業者にも健康保険等の加入義務を規定する。」となっているので、どうように指名停止や工事成績評定が減点されることになります。

1次、2次下請けをメインとしている建設業者も多くいると思いますが、今はまだ建設ラッシュですがラッシュはいつか終わります。沖縄県内でも4500以上の建設事業者がいるためラッシュが終わると、需要の低下とともに競合が増えると思います。
競合が増える中で社会保険未加入であれば元請けとしては仕事の依頼ができないため、下請け先としての候補にも挙がらなくなります。なので社会保険未加入であれば今の段階から準備をする必要があります。

対象となる社会保険

今回、指導対象となる社会保険は以下3つです。

・雇用保険
・医療保険
・年金保険

まずは各保険の概要をまとめます。

■雇用保険
国の社会保険制度の1つで「労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進」を目的にいろいろな保障を受けることができます。一番知られているのが失業したときに得られる「失業保険」です。
これは失業した後でも一定期間は安心して生活ができるようにということで一定割合のお金が支給されます。
ただ、失業保険は退職が自己都合か会社都合かによって支給タイミングなども変わってきます。
そのほかに失業保険を受給している人が再就職をした時に支給される「就職促進給付」や厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・終了した時に支給される「教育訓練給付金」もあります。
さらに、育児休業や介護休業で仕事を休んだ際に、「雇用継続給付」を受け取ることもできます。

■医療保険
医療保険は病院や薬局で発生した医療費などの一部または全部を負担する制度です。
いままで病院に行かれたことがあると思いますが、領収書を見ると3割負担などと書かれていますよね?
例えば病院での診察費用が1万かかったとします。
その場合、3割負担の人は病院の会計では3000円を支払うだけで診察を受けることができます。
残りの7割(7000円)は保険者(国や自治体、協会けんぽ)が負担してくれます。

日本は「国民皆保険」といって必ず何らかの医療保険に加入しなければいけません。
なので会社員や会社員に扶養されている方であれば組合健保・協会けんぽなどの一般的に社会保険と言われているものに加入していますし、自営業の方であれば国民健康保険、公務員であれば共済保険に加入していると思います。
医療保険では毎月一定額を支払う(給与支払時の天引きが多いです)ことで病院での負担額が一定割合となっています。

■年金保険
今、話題の年金です。以下のブログでも年金に関する記事を書いているので参照ください。

URL:https://lawless098.com/notget_pension_savings20million/

年金は退職したあとの老後生活を支えるための保険となっております。65歳以下の若い人達が負担者となって、65歳以上の方たちの生活を支える仕組みです。
年金は大きく国民年金、厚生年金にわかれます。
国民年金は「基礎年金」とも呼ばれるものであり、20歳以上60歳未満の国民全員が必ず加入することになっている年金です。

一方、厚生年金保険は、国民年金に上乗せされて給付される年金です。基礎年金となっている国民年金の金額に、厚生年金保険の受給額が加算され、合計金額をもらうことになります。厚生年金保険の対象者は、主に会社員やサラリーマンなどが挙げられます。

今回の制度は法人、個人などの事業所の形態や雇用する従業員数によってペナルティーが課せられる条件が変わってきます。条件の概要は以下となります。

「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」

社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン

また、国土交通省が以下のようなシートを公開しているのでこちらで自分の会社がどれに当たるのか確認できます。

URL:http://www.mlit.go.jp/common/001219923.pdf

対策方法

今回の制度適用に伴い各種保険へ加入しなければいけなくなります。
なので保険料の増加が事業主や経営者としては気になるところだと思いますので、積極的に以下の対応を検討しましょう!

■必要な社会保険料を元請に求めましょう
元請けとの見積、契約時に専門工事業団体が作成した標準見積書の活用等によって、社会保険料の内訳を明示して元請けにその確保を求めることができます。

・国から元請けに対して、下請見積書の法定福利費の尊重が求められています。
・法定福利費を含まない契約は、建設業法違反になるおそれもあります。

建設業は「社会保険にすら加入していない業界」とイメージされ、若い人材が集まらない状況にもなっていますので改善が必要です。

まとめ

本日は「沖縄県土木建築部」が新しく適用する制度に関してまとめました。
若い人が集まらないと考えている経営者や事業者はこのタイミングでぜひ自社の社会保険制度に関する見直しをオススメいたします。
人が集まらないと事業の存続自体が危うくなりますよ!