最近よく聞くMaaSって何?【MaaS概要と今後の展開】

最近よくテレビなどメディアでも「MaaS」という言葉を聞くようになりました。
そんな「MaaS」ですが中には「MaaSって何?」、「MaaSはUberとは違うの?」、「MaaSのメリットとは?」と感じられている方も多くいるかと思います。
今回はそんなみなさんが感じていることを当ブログで説明いたします。

 

今回は以下の流れで解説いたします。

1.MaaSとは?
2.世界でのMaaS事例
3.MaaSで解決できること
4.MaaSの今後の展開と経済や業界への影響
5.まとめ

この記事を読むことでMaaSの概要を理解することができます。
また、世界ではすでにMaaSが利用されており最先端の事例や解決する課題も理解できます。最後にMaaSが私達の生活へ与える影響などもご紹介いたします。

1.MaaSとは?

MaaSは「Mobility as a Service」の略で「マース」と呼びます。
MaaSとはバス、電車、新幹線、タクシー、飛行機、各種シェアリングサービス(車、自転車など)など異なる交通事業者が提供するMobility(移動手段)サービスを1つのサービスとして垣根をなくして利用できることを指します。

MaaS,Mobility as a Service

Uberや自転車シェアリングサービス自体がMaaSと思われている方もいらっしゃるようで実際にはそれはMaaSではなく1つの移動手段となります。

例えば「自宅から沖縄県庁に行きたい」とします。
沖縄ではUberは利用できませんが、仮にUberが利用できたとします。
自宅から沖縄県庁へUberを利用して行きました!
単純に交通手段の1つを使っただけですよね?これであればタクシー、バス(乗り換えは発生する可能性あり)でも目的を達成することができます。これはMaaSではありません。
(MaaSの定義がまだ明確にされていないですが、上記の認識でほぼ問題ないです)

MaaSの場合は以下のようになります。
行き先が自宅から沖縄県庁と同じ条件とします。スマホで行き先を沖縄県庁で検索したときに複数の手段が提供され、自分が良いと思った手段を選択します。
その選択した手段が例えば以下です。

①自宅→北谷町の58号線沿いのバス停:Uberを利用
②北谷町の58号線沿いのバス停→沖縄県庁がある久茂地近辺のバス停:バスを利用
③沖縄県庁がある久茂地近辺のバス停→沖縄県庁:シェアサイクル(自転車の共有サービス)を利用

自宅でUberを手配したタイミングでバスやシェアサイクルに搭乗するための必要な手続きと決済が完了しており、それぞれがドアツードアですぐに乗り換えして目的地につくことができる。

というようなものがMaaSになります。
GoogleMapを利用している人だとご存知だと思いますがGoogleMapで現在地と目的地を指定して検索をするとバスでの移動手段、車での移動手段、徒歩での移動手段が提示されると思います。MaaSではそれら各種移動手段すべてがすべて利用されてより最適な移動手段を提案する形になります。
いかがでしょうか?MaaSの概要が理解できましたでしょうか?続いては世界のMaaS事例をご紹介します。

2.世界でのMaaS事例

MaaSですが世界ではすでにいろいろな形で社会実装が進んでおります。世界での事例を少しご紹介します。
まずはMaaS発祥でありますフィンランドのヘルシンキの事例です。

■フィンランドのヘルシンキ
ヘルシンキでは「Whim(ウィム)」というアプリが提供されております。
Whimで行き先を入力すると複数の移動手段が表示されます。(移動時間、料金なども表示されるようです)
乗り物を選択するとアプリ内で電子チケットを購入しそのまま決済までできます。
また、月額定額制のプランもあり月額費用を払うことで公共交通機関が乗り放題になります。

■ロサンゼルスのGoLA
ロサンゼルスでもヘルシンキのWhimのよう なサービス「GoLA」を提供している。
「GoLA」も公共交通機関、タクシー、Lyftなどの各種モビリティーサービスを統一で利用できるサービスである。

その他フランス、オランダなどでもMaaSの準備が着々と進められている。
またWhimを提供している企業はそのノウハウを利用してシンガポール、アムステルダム、バーミンガム、アントワープでも事業を展開しているなので世界ではどんどんMaaSが進んでいくと思われます。
ですが日本でも西鉄とトヨタが共同でマルチモーダルサービスを行っている。
(2019年8月まで実証実験延長しているそうです)
福岡のみで利用可能だが「my route」というアプリを使って、公共交通機関やタクシー、自転車などの様々な移動手段を横断的に使いルート検索を行い、必要に応じて予約や決済までできるアプリになっています。

3.MaaSで解決できること

そんなMaaSを使って以下のことが解決できると考えられています。国土交通省が発表している情報から地域特性毎での解決できる課題をご紹介します。

■大都市型(人口:大、人口密度:高、交通体系:鉄道主体)
• 移動ニーズの多様化への対応
• 潜在需要の掘り起こし
• 日常的な渋滞や混雑

→すべての人にとっての移動利便性の向上と日常的な混雑の緩和

■大都市近郊型(人口:大、人口密度:高、交通体系:鉄道/自動車)
• ファースト/ラストマイル交通手段の不足
• イベントや天候等による局所的な混雑

→ファースト/ラストマイルサービスの充実と特定条件下での局所的な混雑の解消

■地方都市型(人口:中、人口密度:中、交通体系:自動車主体)
• 自家用車への依存
• 公共交通の利便性・事業採算性の低下
• 運転免許返納後の高齢者、自家用車非保有者の移動手段不足

→ 地域活性化に向けた生活交通の利便性向上および域内の回遊性の向上

■地方郊外・過疎地型(人口:低、人口密度:低、交通体系:自動車主体)
•自家用車への依存
• 地域交通の衰退
• 交通空白地帯の拡大
• 運転免許返納後の高齢者、自家用車非保有者の移動手段不足の深刻化

→生活交通の確保・維持および交通空白地での交通網・物流網の確保

■観光地型(人口:ー、人口密度:ー、交通体系:ー)
•地方部における二次交通の不足、観光交通の実現
• 急増する訪日外国人の移動円滑化
• 多様化する観光ニーズへのきめ細やかな対応

→観光客の回遊性の向上および訪日外国人の観光体験の拡大・向上

4.MaaSの今後の展開と経済や業界への影響

そんなMaaSですが今後は確実に世の中に浸透、展開されると考えております。
日本でも「未来投資戦略2018」ということで「次世代モビリティ・システムの構築」ということで大きく掲げられています。「次世代モビリティ・システムの構築」の中では以下のことが掲げられています。

•無人自動運転による移動サービスの実現(2020年)
•「自動運転に係る制度整備大綱」に基づく必要な法制度整備の早急な実施
•まちづくりと公共交通の連携、新たなモビリティサービスのモデル都市・地域構築

MaaSインフラの整備はいろいろな経済チャンスや変革を生み出すと考えられています。
たとえば保険です。
今までは自動車を所有している方は任意保険や自賠責に加入していると思いますが、MaaSが広まってくると自動車を所有するという考えがなくなるので保険自体への加入者が減るでしょう。
一方でオペレータや各交通事業者がインフラとなる交通手段を提供するので事業者向けの新しい保険サービスなども出てくる可能性があります。

また、トヨタ自動車は最近ではソフトバンクと手を組み新しい企業を立ち上げたりしています。
これは車を所有するという考え自体がなくなるので、トヨタとしても今までのようには車の販売ができなくなることを想定してのアライアンスとも考えられます。また、トヨタの社長も終身雇用の維持は限界があるとこの前発表しておりましたが、このあたりも今後MaaSが展開されることを見越しての発言だと思います。

なので今後は大きく移動手段に対して考え方や基盤が大きく変わる可能性があります。

5.まとめ

まとめとしてはMaaSの概要をまずは理解してほしいです。
UberなどのサービスをMaaSというのではなく、いろいろな移動手段を横断して1つのサービスとして利用でき合わせて予約や決済まで一気通貫で利用できるサービスの事を指します。