終身雇用が終わる?!【トヨタのチャネル統合改革の影響】

トヨタは「トヨタ」、「トヨペット」、「トヨタカローラ」、「ネッツトヨタ」という4つの系列でそれぞれ販売できる車種を分けていました。
ですが2019年4月からは東京地区における4つの販売会社の統合が始まりました!
また、国内他の販売地域も2年〜5年前倒しで2020年の春ごろには統合するという方針に決まったそうです。

今回はチャネル統合における影響などを解説します。

1.トヨタの現状とチャネル統合の狙い
2.チャネル統合による影響
3.まとめ

1.トヨタの現状とチャネル統合の狙い

トヨタは東京地区を除くとトヨタ」、「トヨペット」、「トヨタカローラ」、「ネッツトヨタ」という4系列の販売店を持っています。東京地区は2019年4月から統合されています。
もともと他自動車会社もトヨタと同様にブランドごとで販売会社を分けるスタイルを取っていました。

■日産
「日産店」「モーター店」「サニー店」「プリンス店」「チェリー店」

 

■マツダ
「マツダ」、「アンフィニ」、「ユーノス」、「オートザム」、「オートラマ」

 

■ホンダ
「クリオ」、「ベルノ」、「プリモ」

日産、マツダ、ホンダももともとは上記のようにチャネルが分かれていたが現在ではチャネル統合され、トヨタのみがチャネルを分けた販売網を持っている形である。
もともと販売チャネルをわけていたのには以下のような理由があったと考えられます。

選択と集中

車は消耗品などに比べて金額が高くどちらかというと高級品にあたる。なので販売するときには営業の知識やスキルが当然必要となってくる。だが取り扱う車種が多くなると車1つ1つの知識などを把握することが難しくなる。
そこでチャネルを分けて取り扱う車種を分けることで営業が車種限定で知識習得を行うことができる。

ブランディング

各メーカーが取り扱う車は100万以上のものから600万、700万ぐらいと幅位広い価格を販売している。
当然、価格帯が変わればターゲットも変わってくる。
そこでチャネルを分けて取り扱う車種を分けることでそれぞれの車種やチャネルをブランディングすることでよりターゲットに認知されやすくなる。

今まではチャネルを分けて販売する形で問題ありませんでした。
ですが自動車の販売台数や需要はピーク時に比べると確実に減ってきています。
販売台数が減ると売上や利益にも影響が出てきますがチャネルを分けて販売を行っているとどうしてもコストがかかります。

■コストがかかる理由
・店舗や設備数が必要となるため
・従業員が必要となるため
・取り扱う車種が増えることで製造コストなどがかかるため

上記のような理由もありトヨタでもチャネル統合が進められようとしています。
チャネル統合はどの店舗でも全車種を購入することができるため、お客様ファーストの改革とも見ることができます。
お客様の立場からすると1箇所でそのメーカーが取扱をしている車種すべてを選択できたほうが便利ですし、合理的です。

ですが一方では今回のチャネル統合はメーカー側の都合や今後の時代を予測して先手とも考えることができます。
上記でも記載しましたがチャネルを分けるとコストがかかります。
なので企業側として以下のような改善を行うことも考えていることが予想できます。

店舗統合や設備統合

コンビニも同様ですがファミリーマートの道を挟んで反対側ファミリーマートがあったりします。トヨタの販売店でも別のチャネル店舗がすぐ近くにあったりします。今までの車の出荷台数が右肩あがりの場合は多くの店舗を構えて問題ありませんが、現在ではピークに比べると下降気味です。日本国内は人口も減っていくことが予想されるので今後の出荷台数も右肩あがりになることは難しいと思います。なので店舗統合などを行い経営スリム化を図ることを狙いとしている。

配置従業員の見直し

店舗統合に影響しますが今まではチャネルごとで取扱車種が違ったためそれぞれで人員が必要でした。
ですが店舗統合したときに今までの人員をそのまま抱えると圧倒的に人手多すぎます。1店舗あたりの売上や利益に合わない人の配置になってしまう可能性があります。なので従業員の配置を見直し経営スリム化を図ることを狙いとしている。

車種の見直し

今まではチャネルで取り扱う車種を分けていたので全車種ともにそれなりに販売台数はあったと思います。
ですがチャネル統合され、全車種扱えるようになるとより売れる車・売れない車がハッキリしてくると思います。
そうすることで需要のある車・ない車を識別子して製造・販売する車の見直しを行う可能性があります。

2.チャネル統合による影響

ここまではトヨタの販売形態の現状とチャネル統合に関することをまとめました。
続いてはチャネル統合による影響を解説します。

人員の配置見直しや削減

店舗統合されると確実に1店舗あたりの人員過多になります。なので成績が悪い社員などは人員削減の対象になる可能性があります。

売上や利益の低下

チャネル統合されると今までは取扱車種が違ったため競合にならなかった販売店が競合になってしまいます。
いわゆる社内競合です。
他メーカーの販売店などの社外競合に加えて社内競合も増えるため顧客の奪い合いがどうしても発生しますのでそれに伴い売上や利益の低下が予想されます。

生き残る店舗と残れない店舗

チャネル統合で全車種扱えるとなるとどの店舗に行っても結果としては同じものが変えます。
なので営業のスキルや店舗サービスの質によりお客様の数も店舗によって大幅に変わってくる可能性もあります。
車などは購入する前に何を買うかすでに決まっている人が多いです。
その場合、重要になるのが口コミやネットの情報です。なので営業スキルが低かったり、店舗サービスが悪いと口コミとして広がりお客様が集まらなくなる可能性があります。

ベテランの削減か新採用の削減

トヨタ自動車がAIなどの最新テクノロジーに力を入れています。
そうなってくると雇用する人員も今までと同じというわけではいけません。
最新テクノロジーなどに抵抗がなく成長意欲があるベテランは問題ないと思いますが、それについていけない人は削減対象になる可能性もあります。また、店舗統合により必要となる人員数もこれまでよりは減る可能性があるため新卒採用の数も減る可能性があります。ただ、新しい人達が最新テクノロジー(SNSなどを含め)への抵抗が低いためベテランを削減して新卒を採用して成長させるという選択肢を取る可能性もあります。

3.まとめ

トヨタ自動車の豊田章男社長も終身雇用の維持は難しいと発言していました。
そこにチャネル統合が前倒しという話題が出てきました。
なので今までのような経営が難しい状態となっているため、大幅な経営改革が求められている状況が読み取れます。
今後のトヨタの動きが非常に気になります。